ヤマザキマリさんトラック野郎大好きなんですってよ

昨日は棚卸し後にくろいふたり対談みてきました。ヌテッラ買いにいってから駆けつけたらもう最前列の席しかのこってなくて真ん前にすわってしまったでござる。対談内容としてはちゅーごくの製本がこっちが知ってるやりかたとはぜんぜん違う手法をどんどん編み出しておもしろいとか、リンチは描いた絵をかたっぱしから売ってて記録とってないので作品全体像がさっぱりわからないとか、たきもとさんの持ってるドローイング(銅版画みたいなタッチだった)に書かれた家らしき形がたきもとさんの手のひらにあるとか色々聞いた。凸版のヒトがフトコロが深いとかなんとか。締め切りって破ってもいいものなんですね。あと「事実かどうか」よりも「面白いかどうか」を重んじるという考え方はすごく共感した。本筋と関係ない話を書いてるにも関わらず、まとめてみると滝本誠の評論集として1本スジが通ってる、とは言い得て妙です>柳下さん。チクビとこむらがボリュームアップして豪華版として復刻するとかなんとか。それと岸川さんが色白でおでこの広い青年でした。
トークショー後に買った(会場ABCだと帰りに財布の紐ゆるんじゃってこまる)これこれこれの内のハロルドさんのシェイクスピア漫画がかなりアガる内容でベルセルク新巻がかすみました。1巻めがあらぬ方向だったんで不安だったんですけど、今回でた2巻みたらぜんぜん安心するしかけで。つーかこれは英国ソネット中国起源説とゆうことでよろしいのかしら(中国のほうが古いし)。まだ文才を発揮してない若かりし時分のシェイクスピア(もとは別名)の野心むきだしキャラっぷりがしぜんでEです。今回のエピソードはカネ勘定系の人がリアル霊的感受性をもつ「本物」に出会うことによって文学的才能を磨いていく話ですが、小説家とか劇作家みたいな職業がないに等しい時代に「人の心を動かす筋書きが売り物になる」と見抜いたあたり商才に長けてるよなーと思います。文学的霊感をもってても売り方しらなかったら作家になろうとすら思わないだろうし。あと儲けのノウハウに付随する汚い部分とかに興味がないと、政変のゴタゴタとかドロドロの痴情のもつれとかを1要素として冷静に扱うことができなくなっちゃうしな。詩のヒトに多いように思うんだけど、そのテの社会の裏側的なタフな要素を否定して「文学的霊感」や文学者的繊細さのみを重んじる傾向はどうかと思うよ。世の中の面白さはそれだけじゃねえだろ。許容度が異様に狭いだけにしか思えない。そういえば昨日フジ子ヘミングの生涯再現映像みたいのやっててチラッとみたけど、なんかお母さんの歪んだ愛憎が影響してのことなのかもしれないけどさ…フジ子さんの異常な生活力のなさとか、あんなに望んでいた成功への足がかりをいざ目前にするとすくんでしまって何もできなくなってしまうところとか、野心とそれを実現する手段がなんだか乖離しすぎててすごい痛々しかった。こまかいことはわからんけど、周囲から再三「天才」だの「大成功する」だの言われ続けたがゆえに盲目的に「自分は大成功するんだ」と思い込んじゃったのが痛々しい道程をたどることになった原因なんじゃないんですかね。大成功したいわりに自分を売り込むのはヘタクソだし、生活力ない(食物ないから砂糖水のんでた…ってそれ以前にピアノ弾きのバイトとかは…?)せいでいざというときに病気になっちゃうしさ。才能あるヒトにはプロデューサー的な考えもどっかで勉強さしたほうがいい気がするけど。そもそもフジ子さん個人がお母さんや周囲の言うような「成功」を心の底からつかみたかったのかもちょっと疑問だなーと思ったり。他者の意見に半生ずっと踊らされてたようにもみえた。映画みてないけどセラフィーヌさんも生まれながらに素晴らしい才能と霊感を備えていたけれど、長い貧乏生活から派生した贅沢への欲求に抗いきれずに破滅していったふうにみえますが、天才だろうがバカだろうが基礎的な生活力とかカネとのつきあいかたは最低限知っておいたほうが吉だよな。いかな素晴らしいちからを持ってても、金や成功に踊らされたら台無しにしてしまいかねない。ろくろく折り合いのつけかたも知らないのに追いかけ始めたらそういうものにしかならなくなっちゃう。
ヤマザキマリさん新刊はヤマザキさんが欲求をカキたてられた国々にいってみた際のアレコレを漫画にしてあるモノでキューバ編中心ですけど、飢えるほどに物資がないからこそ人々のつながりが濃ゆいところとか、物をとてもたいせつにするところとかがなんかよくよくわかりました。ヤマザキさんがもってきたチョコレートに感激しすぎた子供が包み紙を肌身離さずもっててことあるごとにニオイをかぐ(飢えてたらふつうそうするよね!ホーラみろ!)とことか、たまのごちそうをヤマザキさんに描いておいてもらうとか、先進国に欠落した情念ですわね。先進国に欠落した部分といえばどこの馬の骨の子かわからないような子供も実の子もわけへだてなくひとつ屋根の下で暮らしてて、まあ全部のご家庭がヤマザキさんの滞在したとこと同じ状況ではないのかもしらんけど、だれの子でも関係ないじゃん!仲良く暮らそう!みたいな楽天的な心構えがすごく自由でよかった。生まれがフクザツでもああいう家族ならぜんぜん幸せだよ。先進国は「乱れた性」として拒絶しがちだもんな。あとドリフのコントでカトちゃんが「ちょっとだけよん アンタも好きね〜」のときにかかる曲がブラジルの名曲だったってウロコがでた。スタッフもイ〜イ曲アテるよな。しかしゴールデン番組で「濃厚なエロ歌謡をバックにステージでおっさんが体くねらせながら脱ぎはじめる」画は各方面に隠れた影響を確実にもたらしてると思う。あれはおねえさんよりもハゲヅラのおっさんだからこそよけいにビザール度8割増でエロいのです。
さいごの牛おんな漫画はなんとなく。ウシリスト入候補。ウシハルちゃんに筆持たしたらスゴいもん書き始めるとこはハロルド作石さんシェイクスピア漫画2巻にある「ガチ霊感の人に文字を教えたらものすごいモノを出しはじめた」アレと似通ってるかな。
トークショー後にいっしょに買ったこれこれこれはこれからじっくりみる。つーか後者のリンチ2コはアマゾンで買った方が安いってわかってるのに…!わかってるのに実物みたらふしぎとレジにむかっていました。なんかABCさんのキャンペーン中で2割引でかえましたけど。ありがとうABC。そういやリンチのぬしづり本(こことかここもどうぞ)て翻訳どうなってんだろう。ところでモービーってディック好きなのね。