心で花を狩る

 

棟方志功展メイキング・オブ・ムナカタ(東京国立近代美術館)みてきまして、版木を彫って出るゴツゴツした彫り線で描いた男神と、女性や菩薩の柔和な曲線が画面いっぱいに展開されていて、その線の上(裏からのもあるのかな)から淡い薄青色や薄赤茶色で透明感ある彩色が施されてるものが多かった。女性は男を描くときのように角ばった彫線では絶対描かないのね。棟方さんが神仏を好んで彫ったのは人外の並外れたちからを表現したかったからなんだろうか。31のキリストの12使徒を描いた中で指聞さんが描かれてるのがあって、なんか顔や肌に模様が描かれてるんだけど、あばたか何かなのかな?遍天呂さんはヒゲづらで、そのヒゲにいっぱい模様が描かれててなんか可愛い。特に女性を描いた作品(特に50や53)では素っ裸のものと、裸に模様が散りばめられてるものがあって、あの体に模様がみっしり描かれてるのはどういう意味があってのことなのかな。神仏系のでは上記画像にも出した29の十大弟子を描いた作品は釈迦の弟子達がジョジョ立ちしてるものですが、なんか顔つきとか見るだにゴッホつーよりピカソゲルニカ系の顔つきしてるふうに思える。目が極端にくっつけて描かれてるとことかさ。それといろんな作品の解説でも書いてあったけど、21の空海頌の解説に『空海作とされる「いろは歌」を元にした佐藤の未発表の詩稿を読むなり版画化を申し出』とかあって、なんか棟方さんはいろんな芸術作品から感化されることが多かったみたいすね。40−1はお寺の襖に松が描かれたものですが、松だって言われないとなんだかわからん。筆をぶつけるように描いてて勢いがありすぎる。もはや現代美術。1936年の展覧会でサイズがデカすぎて陳列拒否された話が解説に出てたけど、襖でアレなのでそうもなるだろうな。あと解説で「下絵を描かず短時間で彫りあげたとする逸話が有名だが、何枚ものスケッチがあり、構想段階で長考した跡が残る」てあって、勢いだけで彫ってるわけでもないのね。でもお坊さん彫ったやつとかはなんか円空の作った仏像を思い出すよ。作品にはよく鳥が出てくるんだけど、アレは川端誠さんの「鳥の島」てのがよぎった。そういえば川端さんは円空がモデルと思しき風来坊のシリーズを描いてたっけね。棟方さんの神仏作品では35は口元が笑顔の不動明王ですが、当時の軍のためにそうゆうのを大量に描いてたらしい。棟方さんは戦争中もうまいことやってたんですな。うまいことやってたといえば棟方さんは和菓子屋の包装紙のデザインなんかもやってたそうで、ああいうのみやげでもらうと嬉しいね(グッツ売り場に菓子込みで売ってたよ)。そういえば展示の最初の方の13桃真盛りは棟方らしくない小さな花が丁寧に施された作品だったけど、あれポスカで売ってほしかったな。展示の最後の方には望月ミネタロウさんの棟方さんを描いた漫画雑誌が展示されてた。

本日題は63の花狩頌の『削り花の矢を天に向かって放つアイヌ儀礼に発想を得た作品』ていう解説に出てたものから取りました。