年くうにつれ結婚てできなくなるものなのね…。


昨日はターミネーター4(丸ピカ)→路上のソリスト(しね)→レスラー(しね)。3作共満員状態でしたけど、特にしねはかけてるもんが全部満員で買い付けてる人と宣伝の人がうまくやってるんだなーとしみじみした。でまあ肝心の作品はどれも面白かったですけど、レスラーはもうなんか…面白いとかどーとかいうよりなにげに名作です。なんで今年はオヤジの死に際に関する名作ばかりがこうもたたみかけてくるのでしょうか…。うれしいような悲しいような複雑な気持ちになる。レスラーに関しては働きながら何かをやってる人のための作品にも思えた。若い頃が全盛期だったかつての人気レスラーのラム(ミッキーローク)が、年くったいまも細々と小さい興行を続けてるんですけど、でもそれじゃ食っていけないのでスーパーで日々バイトしながら生きてるわけですが、ある試合後に倒れて担ぎ込まれた病院で心臓のバイパス手術を受けた挙げ句、医者からは次にプロレスなんかやったら死ぬって言われる。いろいろあって独り身のラムは唯一個人的な会話のできる熟女ストリッパーに相談にいくと、肉親である娘さんに話したほうがいいと言われて娘のとこへ訪ねていくも取り合ってもらえない。この娘さんとは熟女ストリッパーの人の応援で仲がいったん修復に向かうんですけど、ラムの性分が原因でまた修復不可能なほどこじれてしまうんですが…つーか、もうラム父さんのだらしないところは直るわけないんだから、娘さんはそれを察してあげて会う約束すんだったらあらかじめケータイ持たせて待ち合わせ時間の直前までしつこく連絡するとかしてあげようよ。そもそも年くった人に対して若い人のペースに合わせろっていうのはむりだし、過去に何回もそういうメにあったんなら回避できるはずなのにさー。娘さんが察しが悪い上自分に対して愛を注ぎ続けろっていう態度だからよけいこじれちゃうんですね。ああいう1本気な男の人に対して失敗を許さずにキーキー怒るだけっつーのはちょっとお父さんのほうがかわいそうだよなあ…。娘さんも被害者で小さい頃からの慢性的な愛情不足がそうさせてるっていうのはわかるけど、あのすっぽかされたあとにラム父さんが謝りにきて物を投げつけて泣き叫ぶのとか、完全に男女間の痴話ゲンカまんまのノリだし。ゆるせないっつーのはあのラム父さんの性分そのものを受け入れられない(小さい頃に父親がそばにいてほしいのにいてくれないという悲しい感情を植え付けた根源だから)ということだけど、でもラム父さんのことを許してあげないと娘さん自身もつらいままだろうになあ。そういうカンジでラムは自業自得的に孤独なんですけど、でも熟女ストリッパーの人とは微妙に相思相愛っぽいんですが、なんか熟女ストリッパーさんの個人的なけじめ(子連れなだけに子供に対してもラムに対しても申し訳ない気持ちがあるのでしょう)として頑としてラムといっしょにはなってくれなくて、ラムが迫ってもお客とは個人的な関係になれないの、とすげなくされてしまって終始孤独なままなんですが、医者に言われるままレスラー稼業からの引退を決心してスーパーでの労働時間をふやしてもらうもクソムカつく客に何回もコケにされる形になってとうとうブチ切れたラム(このシーンは孤独のグルメで横暴な店主を痛めつける場面と同様、全労働者がつね日頃から胸に抱いてるけれど決してできないアレな画ヅラで必見だ)がやってられるか!オレはレスラーなんじゃああああ!!!と店を出てイキオイ戦闘開始の連絡をいれる、というのが大体のスジ。なんか…レスラーに関しては観る前日に(まだ観てもないのに)夢にみて、観た日の晩も夢にみて、どんだけ楽しみだったんだ自分!!と驚きました。ふつうにたのしみではありましたけど、そんな心の奥深く食い込むほど想ってたことが意外だった。よく知らなかったプロレスの世界の事情とかもちょっとかいまみれて面白かったですし。なんか試合前に対戦する相手同士でどういう戦いかたにするか筋書きをだいたい決めるんですね。どうやったらお客がいちばん盛り上がるか、魅せ方の段取りを決めるとことか、なんか物語の作り手みたいな感じですな。映画監督とか演劇みたいな。映画や演劇とちがって攻撃を互いに生身の肉体でぜんぶ受けるところがスゲーし。工業用ホチキスって何発か打たれてもだいじょうぶなものなんですね。こうして客を喜ばせるために生傷が常に耐えないところがまさしく苦しみを一身に引き受けるキリストのような感じです。あとストリッパー稼業の人が年をとったらどうなるのかを描いためずらしい映画でもあるような気がした。なんか性のものも力のものもカラダありきな職業で、それは老いや衰えがもろに影響してくる代表的なものだけに万人に訴えかけてくるというか。老いて仕事ができるのか、ひいては生きていけるのかという人生の問いがこの映画に詰まってる気がする。肉体をつくるためとはいえ心臓に爆弾かかえたまま内臓に負担をめちゃめちゃかけるステロイド剤を打ち続けるラムが痛々しい。熟女ストリッパーの人は仮にラムといっしょになったとしても、愛する人が自らに鞭打ち続けるところを毎日のようにみなきゃならなくてつらかっただろうと思う。
路上のソリストは記者のロバートダウニージュニアが路上生活をしてる精神病の天才チェロ弾きを見出してネタにした上、恩返しとばかりに一般的な生活をさせようとするも、それは精神病の天才チェロ弾きさんにとってはありがた迷惑でしかなかったというお話。ダウニージュニアがこの人のことを記事でとりあげたがゆえに路上生活者のたむろする地域への市かなんかからの援助金倍増が決定するんですけど、それは同時に路上生活者たちを排除することでもあって、結局上から目線の善意押し付けはなんの解決にもならないという真実があぶりだされてました。一般常識的な「幸せ」がどんな人にも当てはまるとは限らないというのと、なにしろ当人の意志をまず尊重しましょうねというアレ。精神病の天才チェロ弾きさんとしては兎に角ダウニージュニアにずっと友達でいてほしいだけなのに、ダウニージュニアとしては住処与えてまっとうな生活させてやってハイ終わり、て片付けたかったみたいで、そこらへんで後半あたりにこじれたりします。なにげに「一般的な尺度」というものが実は冷酷で情に乏しい意識であることがあぶりだされます。冷酷で情に乏しいといえばタミ4は機械と人間の戦いモノの続編ということで情をもった存在を滅ぼそうとする機械側の姿勢はウォルマートすき屋を思い起こさせるものですが、今作はのちにジョンコナーの父さんとなるカイルリース奪還な話だった。二項対立戦い神話の王道展開を真っ正面から誠実に取り組んだ作品つーか。続編はひたすらまじめにやるが確実かもな。次回は2にでてきた形状記憶型と戦うのかしらね。あとカイルリース役はチャーリーバートレットさんということでなんか面構えとかよかったです。