嘘だってよくよくわかってるからこそゴッコ遊びができるんだよ

チェブラーシカ/くまのがっこう(4日。六本木ヒルズ)→エリックを探して(ヒューマントラストシネマ有楽町)→アンストッパブル(16日。バルト9)→スプライス→モンガに散る(シネマスクエアとうきゅう)とみまして、チェブラーシカと併映の熊の子のアニメ映画は絵本好きのツボどころをビタ1文しらない門外漢の方が監督したんだな、と思わずにいれないかった。主役の熊の兄弟がなんか体に縫い目がついてるんでヌイグルミってことだと思うんですけど、劇中で転んで「血がでちゃった」て言って赤くなった箇所をみせるくだりがあるんですが、そこはヌイグルミなんだから白い詰め物が出てなきゃだめでしょ。じゃなきゃなんで縫い目がついてるの?「子供向きなんだからそんなこまかいことはどうだっていいでしょ」ってこの作品の監督さんは思ってるんでしょうね。血がでるヌイグルミなんてありません。キャラクタを「ぬいぐるみ」ビジュアルに設定した以上は素材の質感に忠実に話をつくっていくのが子供向き作品をつくる上での礼儀だと思う。センダック映画だって傷ついたかいじゅうから血がでたりはしなかっただろ。ぬいぐるみはふかふかしていて中身に詰め物、ブリキのおもちゃはカチカチで錆びるんだよ。ちいさいときはみんなそうやって物の感覚をおぼえるじゃん。みょうに埃っぽかったりイチ部分だけ動かなくなったりさ。くまのがっこうの前宣伝でキャラクタに縫い目がついてるのを見て感触の面白さを伝える系の作品なのかな、と思って期待してたんだけど、そういった身体感覚まるで無視。縫い目設定は意味も使う気もゼロの単なるお飾りだった。プーさん(原作本のほう)バルタ(どうぞ)1000回みてから出直してこい。子供向き作品をなめんじゃねえよ。ラストでくまの兄弟たちが唐突に有名映画キャラのコスプレしだす(話とビタ1文関係ない)けど、子供向きをなめてるトハンパな心持ちの映画オタクに片手間で知らないジャンルの作品つくられるのって癇に障るねえ。くまのがっこうの原作よんでないんでしらないけど、ちびっこい男の子供が去勢されたみたいに行儀が良すぎるのもブキミ。10人もいてあんなのありえなすぎる。あすこは洗脳済みの熊の子の入る強制収容所かなんかなの?あの縫い目ってもしかしてロボトミー手術痕?兄弟のなかにリーダー的なおにいさん役割の子がいて統制して妹を助けにいくってんならまだしも、全員が破壊神的年齢であれはないわ。いくらなんでもリアリティ無視しすぎ。子供向きだからこそそういう部分はちゃんとしなけりゃならないし、子供年齢ならではの面白さがなくなっちゃうじゃん。リアリティ無視しすぎといえばクライマックス(とかいうのも嫌だ)で兄弟がとぶ自転車のって花散らすとこもさ、上空からまき散らされてる花がほぼ全部茎と花が離れてバラバラになってる状態で描かれてたけど、なんか妹が手に持ったシーンでなぜか全部くっついてるんだよね。つーかあんな上空からバラまかれたらぜんぶ拾うのにかるく1〜2時間はかかってひと苦労だし話からしたら日が暮れてるよね。そもそもだ。あのシーンでどうしてもバラまかなきゃならないんだったら「妹ちゃんが摘んだ花を落としちゃったのに気づいて泣きわめく→病気で寝てる友達が気づいて家から出てきて妹ちゃんのとこに駆け寄る→そこへとぶ自転車にのった兄弟たちがあらわれていっせいに花をまく」のほうが絵的にも展開的にもすんなりいくんじゃね。いちいち展開や設定が無理なんだよね。誠実につくろうとしてないのが透けてみえちゃう薄っぺらさ。ジャンル無知なくせに頭ごなしになめてかかってるような輩に子供向きのものを任せたりしないでください。
チェブラーシカは声もかわいいし、ちいさい子のしぐさなんかがちゃんと盛り込まれてるし色々よかったです。 字幕ではチェブラーシカのことを「ばったり倒れさん」とか出てたけど、要するに「行き倒れさん」てことだよね。行き倒れさん関連でいえば日本向けにはオレンジの箱よりもみかん箱に入ってたほうがよりけなげさが倍増するとは思う。
スプライスはナタリーつーか安心のダークキャッスル印映画でよかったです。ダークキャッスル作品はかならず年2〜3本みないと気が済まない。話としては企業の雇われ科学者夫婦が出来心で押し進めた実験で新生物をうみだしちゃって右往左往する例のアレですが、最初はちんこっぽいんですけど、だんだんヒト型になってって最初は女の子ふうな体裁でお母さん役のサラポーリーのいうことにおとなしく従ってるんですが、新生物は成長が人間の数十倍の早さなんで、昨日まではおとなしかったと思ったら翌日には思春期通り越して可愛がってたネコをブチ殺すような凶暴なビッチになってる的展開で、まあ肉食で淫乱なあばずれさんを逆撫でする的な仕打ちが続けば暴力的な本性をあらわすのも時間の問題ですけど、とりあえずお父さん役のエイドリアンブロディにのっかかっていったりするし、それだけならまだしもその後に逆の性別になってこんどはサラポーリーさんにも襲いかかっていったりもする制御不能生物っぷりをみせつけます。最終的に妊娠オチではあるんですけど、あれってメスの体だったときにブロディから受けた精子を体内に持ってる状態でオス科してポーリーさんとまぐわったってことなのかな?とりあえず下半身がトリっぽい異形とダンスを踊るエイドリアンブロディとか異物好きの方はかならず見て損はない系の画ヅラがけっこうあります。ドレンちゃんにケーキ食わせたい。ドレンちゃんとまぐわってる中のブロディを発見してポカーンとなるサラポーリーと報道陣お披露目でいつのまにかオス化してたちんこ生物が血みどろの戦いを繰り広げちゃうとこがわろた。個人的にはドレンちゃんより初期つくられたちんこっぽい生き物のほうが観察心を掻き立てられる。口からなんかだすのも面白いし。ちんこが単体で動いてる系列としてみればバッドバイオロジーと2本立てで上映すべき作品だと強く思う。
アンストッパボーは人為的に配したかのようなドキドキドカン設定(よく溶けて燃える化学燃料満載)(チビッコたち見学にくる)(暴走先の急カーブ地帯に巨大燃料庫)が次々と襲い来るなか、クビ覚悟で上司に逆らって無人暴走列車を止めにいくふたりとその身内と応援してるヒトたちの実話をもとにしたお話だそうです。電車って連結する長さがとても大事なんですね。ひとつ間違えただけで大惨事になるたいへんなお仕事だなーと思いました。司令塔(中間管理職だけど)の女性の方がエバンゲリオンのミサト(だっけ)みたいでかっこよかった。現場の努力を信じないうえ虐げる上層部ってうんこですね。
モンガーに散るはやおい映画にしかみえない(特にクライマックスが)のはわたくしだけでしょうか。ヤングガンの同人誌で刃向かってきた美形揃いの主人公たちをみた悪者側が(羨ましくなんかない・・)とか半泣きで思ってるやつ思い出した。モンガーでは富士山を背景に真っ赤な桜が描かれたポストカードがでるんですけど、桜=赤と捉えるのって中国特有の感覚ですよね。日本では絵に描かれる際、赤であらわすのは梅や椿や紅葉(ポストカードの絵は一見して紅葉かと思った。あの構図で描かれる場合だと日本ではふつうは紅葉しかない)であって、桜は白だよね。モンガーでは血のりとしてあらわしてるんだけど、なんつーかな・・血が赤で花も赤じゃいかんですよ。血が赤いからこそ散る花は白が活きる。血の花として描きたいんだったら彼岸花かな。桜を血なまぐさいものとして考えるのは正しいけど、とらえかたが日本人にくらべるとダイレクトすぎてなんか品がないな。映画はすごくよかったけど。最近これよんだけど、ごちそう食べてるとこでごちそうの絵を飾るのは無粋なんだよ。こういう感覚ってポンニ人にしかわからんのかな。そんなはずないよな?