逆の落差ならサイコーなんだけどな

水曜日のエミリア(10日。ヒューマントラストシネマ有楽町)→ハングオーバー2(丸ピカ3)→陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル(シネパトス)→ダンディ(日仏学院)とみまして、水曜日のエミリアは新人弁護士のナタリーポートマンが勤務先の弁護士事務所の上司を略奪婚して子供のことでなやむ話。略奪婚つーても男のほうもそれでよしとしたんだから女だけを極悪犯罪者のようにいうのはどうもなあ。とはゆっても上司の奥さん側からしたらナタポは泥棒猫以外の何者でもないので、ナタポが世話することになった自分の息子(奥さん側に養育上でなんの落ち度もなければふつう子供は奥さんのほうへいくはずですけど、親権が夫にいったってことはこの奥さんはかなり問題があるってことですよね)からナタポからされた仕打ち(ほんとは息子のほうに非があることなのに異常な環境下の腹いせで母親に告げ口する)を打明けられるや「あのクソアマ児童虐待してるのね!!」とばかりにナタポを罵って旦那の新家族を壊さんばかりに逆上してくる。たとえ奥さんに原因があったにしても、別れた旦那の新しい彼女としょっちゅう面会しなきゃならんうえ、病弱な子供をわけわからん女にまかさなきゃならないとか腹が立ってあたりまえですわね。当の子供のほうも母親からナタポについてあることないこと吹き込まれてるし、母親と父親を引き離した原因であることもわかってるからナタポには憎まれ口ばかり叩いてなつこうとしない。ナタポのほうも子育ての経験もないし息子さんの体質についての知識もないので、勝手な判断して息子さんの体調を崩さしてしまう。そんでまた元奥さんからギャーギャー言われるんですけど、この元奥さんの職業が医者ってこともあって息子の体調をことあるごとにすごく気づかっていて、そこだけみると面倒見のいいお母さんなのかなあと思うんですが、同時に息子をどうしても名門学校に入学させたいらしくて、英才教育しまくっていくつも受験させてるんですけど、ことごとく不合格になってしまう。不合格になった原因として面接で元奥さんが旦那とモメたりしたこともかなり原因ぽいんですが、いっこうに合格しないことへの鬱屈をいちばんがんばってる息子の目の前で元旦那にブチまけたりして、もうなんか息子さんが傷つくことすらも眼中にないふうなイキオイで罵倒しまくるのにいたたまれなくなったナタポが縮こまってる息子さんを息抜きに連れ出す。息子さんの話を聞いてみると元奥さんから吹き込まれたとおぼしき「名門校に入学しなきゃならない理由」を並べ立てはじめて、ひどく頭でっかちになってしまっていることが伺える。ナタポは名門校出なので息子さんの信じる名門校神話じみたもんをやんわり否定したり、スケートすべらせてみたりする。「だれかの意見」で頭がいっぱいだった息子さんはナタポといっしょにいるうちにすこしずつ打ち解けてくる。そもそもこの息子さんとナタポはいがみあってたものの、最初から会話がちゃんとあったからだいじょぶだなーと思った。マジにいがみあってると会話とか意思疎通のたぐいのいっさいが断絶しますからね。会話拒否だとちょっとほぐすのむずかしくなっちゃうけど、活発に口きく間柄ならあんま心配ない気がする。んでまあナタポは息子さんとは親友的な関係が築けてイイかんじになるんですが、旦那との間柄がどうも雲行きがアヤしくて、それはデキ婚時にもうけた子が死んでしまったこと、その原因が自分にあることにナタポがずっと引け目を感じてその子のために買いそろえたグッツもまったく捨てられないほど罪悪感にがんじがらめになってしまっている。心配した友達が子供をなくした人のための会にさそうんですけど、そこで再会した父親にみんなの前で恨み言をぶつけてしまう。ナタポは自分は略奪婚したわりに「家族や家庭をこわした人」を許すことができず、敵視しつづけている。そういう心持ちでいるので、子供が死んだ原因である自分自身をも許せず、憎み続けなければならない=忘れてはならない、という論理から出れなくなってるっつーか。家族や家庭にこだわるあまりに「家庭をないがしろにした罪」をゆるしてしまうことを「軽視」ととらえてしまってるっつーのかな…だから「もうあの赤ちゃんグッツ売っちゃえば?」とか「死んじゃったのは仕方ないからもう忘れよう」とか言われるとナタポがいちいち逆上するっつー。最終的にナタポと会話を重ねてきた息子さんが機転をきかせてナタポと元奥さん双方のわだかまりを解くナイス計画を推し進めてメデタシになります。元奥さんもナタポもそれぞれが傷ついてるんだよね。あの息子さんは頭がいいなあ。むりにつめこむ必要ないよ。この件でいちばん傷ついて打ちのめされたのは息子さんで、だからこそ傷ついてるヒトにはなにが必要なのかがすごくよくわかってたのかもしれない。なにしろ略奪婚はしたあとがものすごいことになるっつうお話です。いろいろカキましたけど略奪婚したナタポが必ず有利になる的な設定はちょっとわざとらしいかなと思った。もしもナタポが低学歴で元奥さんが人格者なら略奪婚はうまくたちゆかないことになりそうだな。あと略奪女に対してお子さんのわだかまりがそう簡単に解けるもんかなあ。かーちゃん苦しませてとーちゃんぶんどった野郎だぜ。ふつうは何年もわだかまりなんかとけないだろ。
陰謀の代償…。幼いころにスラム街で身をまもるために犯した殺しを近所の子が隠蔽工作してくれて秘密にすることを誓い合ったんですけど、殺しに手を染めた子供が成長して警官になるとその秘密を匿名の人間が暴露しにかかってくるっつー話。全体的に枯れかかった大御所がおいしいとこをさらう映画だった。ほとんどねたんでわからんですけど、だまってればいいじゃんよー。なんでバラすかなー。としか思えなかった。殺しに手を染めた主人公はやった直後に自首しといたほうがむしろ面倒な事にならなかった(多分)ような気がするけど、なんかズルズルと長年隠しつづける。そもそも「隠蔽しなきゃならない理由」と「暴露しなきゃならない理由」が両方ともたいした理由じゃない(そもそも子供がブチ殺した連中がヤク中のチンピラだし…)のでどっちにも肩入れできなくてものすごいどうでもいい三面記事を仕事後に寝そべりながらぼんやり眺めてるかんじしました。
ダンディはシャブロル映画ですが、字幕がなかったんでこまかいことはぜんぜんわからず、かつあらすじよんですらなんのことやらわからない。なんか…ハトに話しかける富豪イケメン(シャブロル映画でイケメンでると変質者かひとでなしですね)大学生が友達のアパートでどんちゃん騒ぎしたり彼女をてきとうにもてあそんで捨てたりする話。ずーっとパーティし続けてるような画ヅラだった。富豪んちのハトがすごくおとなしくて可愛いかった。彼女さんがファースタープッシーキャットキルキルの女の人みたいなかっこしてたな。
ハングオーバー2ねえ。18禁のをみなきゃだめ!とかってさ、つまり18禁のほうをみなかった客のほうが悪いんですか。マジ年齢制限は弊害しかないよなあ。ちっさい子のパパのちんちんとママのおまんこにモザイクかけてまわってこいよ>映倫(笑)でハングオーバー2ですが、客席はかなり埋まってましたが笑いは9割がたおこりませんでした。同じ下品ならジャッカスのがうんと楽しかったよ。