湯冷めが超早い

1月10日の朝日新聞夕刊3面に出てた池澤夏樹さんコーナーの文中で、オウム真理教のテロ事件をドストエフスキー作品と適当に絡めて片付けた過去を悔いている旨のあとに『あれは知的怠惰だったと今となると思う。だからオウム真理教の事件に対して意味のある応答ができなかった。社会が底の方から大きく変わっていることに気づかなかった。ちょうど「少年ジャンプ」のおもしろさに気づかなかったように。』て部分があるんですけど、オウム真理教と10数年前の少年ジャンプの漫画とブッシュ大統領の頭のなかって大差ないよね。それを「新奇なモノ」とみなすこと自体にすっげえ違和感があるんですけど。テロ起した当時のオウム真理教とブッシュが中東荒らしたのってほぼ同じような衝動が源になってるつーか。教祖から末端の信徒まで全員が『強いリーダーが掲げた「悪との戦い」にみんなして挑んで勝利する正義の味方のボクたち』のカタルシス欲しさにやってたんすよね。それに反する言動をする存在はすべて悪、みたいにさ(プロジェクトX的な「皆でちからを合わせて目標達成する」て意味では戦後の発展に際して不可欠だったけど、「場」が飽和してそれが裏目に出た)。このテの魔女狩りヒステリーに駆られた側がカタルシス得るまで暴力ふるい続ける的なのって人間がこの世に存在した時点からずっと続いてきたもんなんじゃないのかな。「社会が底の方から大きく変わっ」たどころかぜんぜん変わってないし、その変わらなさが形を替えながら連綿と続いてきていることに気づいてないっていうか…。時流変化した外側の珍奇さだけみて下した「新しいモノだからわからない」ていう拒否反応にとらわれすぎていやしないですかね。池澤さん記事文中に『ゲームはゲームの世界の中だけで完結していて現実に回帰しない。』て部分があるんですけど「だれかのつくった物語をたどる」て意味では小説もゲームも変わらないすよ。行きて帰りし物語を疑似体験して生きるための活力にするのになんで小説だけが特別ってことになるんだよ。この論理からすると映画も「現実に回帰しない」に属することになるけどねえ。まあネトゲ廃神とかだされるとアレなんすけど。ちょっと池澤さんにノワールゲームとかやらせてみたらどうか>近しい方どなたか。そもそも記事文中に漫画もろくによんでないとか書いてあるけど池澤さんバンドデシネ訳してるじゃん。日本の漫画に対してだけ拒絶反応が起きてんの?バンドデシネの国のヒトはよろこんでむさぼり読んでくれてるのにね。
それと池澤さんが文中で使ってる「革命」てのがいったいどういうものなのか全然わからないんすけど、もしもその「革命」の目指す理想がキューバとか北朝鮮みたいな社会体制を指してるのだとしたら誰もついていかないと思う。メシも満足に食えない「理想」はちょっとなあ…。なんか…単なるイメージなんだけど、池澤さんくらいの年齢の方のいう「革命」てどうも貧乏暮らし上等なかんじを受けるんですよね。なぜだか。それをよしとしろって言ってるふうになんかみえるんだよ。根拠のないただのイメージでアレなんだけど、それが今の企業経営者のいう「もっと儲けたいから雇用と給料を削減する」(←この論理が公然と語られることがだいぶ狂ってると思う)ていう「まず市井に我慢を強いる」思想の根っこになってるようなかんじがするんだが。スイスの経済状態がどうなのかちゃんと調べてないけど、昨日日テレでやってた世界番付のスイスのようす(物価高いけど給料も高い)みてて、なんで日本ていまこんなに苦しんでるんだろ…?て思ってしまったよ。スイスとか最低月給で30万(バイトは時給2000円から)からだぜ。他国でうまくいってる政策をどんどん取り入れてるとかやってたし。スイスに負けないしそれを上回るほどの技術もってるヒトたくさんいるのにどうなってるの?いまの日本での革命つーたら「他国でうまくいってる政策をサクサク取り入れる」ことだろうね。経団連だの政治家だの、マジで「雇用と給料を削減する」がいちばんいい方法なのかよ。これは最悪の方法だってわかっててやってんじゃねえのか?つーかその体制で押し進めてった先にどんな「理想」があるっつーのよ。熟練した職人のような国家財産を守ることすらできず平然と使い捨てしてるくせに。

池澤さん記事文からして「後続を理解せず拒否」があのへんの世代のいう「革命」の前提条件なのかなーと思わずにいれん。ずいぶん薄っぺらい革命理論だなー。みたことないモノをどんどんためしてたニコラスレイのがカッケーわ。