「悪役=黒ロングコート」を選択してしまう時点でもうおなじなのかも。

ヒース・レジャーも強烈だったけど、気の狂った演技は「エボラ・シンドローム」(96年)のウォンさんのほうが強烈だと思うな。
 ウォン いやいや(笑)。俺はヒースには敵わないよ〜。ヒース最高!凄い!
 もしも俺がジョーカーをやっても、彼には負けるよ……ちょっと待て!このランキングはどういうことだ!?
 ―どうしたんですか!?
 ウォン 「ランボー 最後の戦場」(08年)が4位!?これは無茶だろ(笑)。それに、よく考えたら「エグザイル」が6位って納得いかん。もっと上位になるべきだ!
 ―ま、それもそうですが、「復仇」がどんな映画になるか非常に気になりますよ。 
 ウォン フランスの映画会社が出資しているんだよ。俺の役柄は「エグザイル」のような感じだ……(と言いながら「秘宝」をめくるウォンは「インリンジョーンズ」の広告ページを発見)この作品はなんだ?傑作の予感がするぞ!』(p.8)

『「おい!こりゃいったいどうなってんだ!」
 殺人鬼が必死にあたりをうかがうと、エプロン姿のデクスターが微笑む。
 「アンタのやったことは死に値する。今から死んでもらうから〜」と、鼻歌交じりに処刑開始。無抵抗な相手の顔面をハンドドリルでほじくったり、ナイフで相手の身体をズタズタに切り刻んでいく……』(p.23)

『■「青いチンコ」が気になってしょうがない。(埼玉県加須市・伊藤正雄・21歳)』(p.111)

多少の雨ならいつもどうりチャリで会社までかっとばすわけですが、さすがに冬のびちゃびちゃは下腹部にこたえるしというわけで渋々地下鉄乗り込んだら通勤ラッシュ(つうか雨の日はいつもこうらしい)でひさびさにガス室送りの囚人列車よろしくギッチギチに詰め込まれて少しぬ思いでしたが、すこしも身動きのとれない体勢におさまった時点でなんだか誰だかのやわらかい尻とこちらの尻が服の布ごしに重なり合うかたちになってまして、これは…!?とばかりに背中合わせに尻を触れあわせている人を振り向いてまじまじと眺めてみたところハタチそこそこくらいのフレッシュなリーマン青年(背ちいさい&こぎれいな顔立ち)で、たちまち動物園によくある「どうぶつなかよし広場」みたいなモルモットを触るコーナーのあの感覚がひろがって癒された。自分よりちいさくて女みたいな顔立ちしてる男の子をみるとなんとなく動物愛護の精神が急にむくむくわいてきますね。男には思えないっつうか。なんかべつの可愛らしい脆弱な生き物的な認識です。尻は意外にやわからくてきもちよかったです。男の尻もバカにできないもんだな。ところで上記『』内は例によって最新のヒーホから抜粋したアレ。松崎から文句タレられるのですくなくしましたよ。クソ!!!とりあえずデクスターのちょい特集はおろかDVDプレゼンツ(おいらとしてはデクスターの関係者さんにもうかってほしいので断固お金出して買います)まで出てたのしみすぎて鼻血が出そうなほどです。中毒者続出中とか書かれたらよけい期待してしまうではないですか。こちとらなるべくコーフンしないようにしてんだよ。そのコーフンを鎮めるというか前祝い的な景気づけというか、なにしろこんどのセガール映画がサイコパスものだっつうからサイコパス好きの自分としてはいっちょおさえとくかてきに観に行った。なんか監督さんはテレビドラマを何本も手がけてるベテランとかいうことですが本当か?スジは胸に爆弾埋められた女の人が地面に横たわって震えてるとこに刑事のセガールがきてこれたぶん例の殺人鬼だな…てことはあすこの建物からこの現場をみてるにちがいない、とか証拠も裏付けもゼロで突然そのアパートのある1室に踏み込んでって室内から窓の外をみてた男をぶちのめすセガール。犯人だという証拠もクソもなにもないんですけどその人が爆弾埋めた犯人で、起爆装置停止さすための切る配線を吐くまでボカスカやる。その後は犯人が窓から飛び出て地面に叩き付けられ御用(パンフのあらすじに『ジェイコブ[セガール]の決め技に弾き飛ばされ』てあるけど自分から出たんだよね確か)。これとべつにセガールは連続殺人犯を追ってて、その犯人は死体に天体のマークを刻み付ける人で、なんか法則があるっぽい暗号くさいっつーことでセガール資料あたる(こういうシーンてふつうだとこの謎解き部分のわからないところとかが観客にも提示されて、ひとつ調べるごとにまた新しい謎が出て、みたいな細かい設定にすることではじめてスリルが生まれるのに設定がテキトーすぎてスリルもドラマもかけらもなくてただセガールが机に向かってる画ヅラを延々と見せられるだけでなんの感情もわかない)。解読した文を図書館の人(だっけ?)に聞かせたら地元のバンドの歌に似てるっつーんでライブハウスで聞き込みするとその歌詞つくった奴がいるっつーんで、会おうとするとそいつらしき男が逃げ出す。セガール追う。この逃げた男がまあ連続殺人犯でサイコパスなわけですが、こいつがどうっつーよりこの映画自体が映画をみるのにぜんぜん興味ない人が人気作の表層の雰囲気だけまねてそれらしくつくってみた、みたいな小手先感たっぷりな作品です。映画のたのしみがぜんぜんわからない人が真ん中にでーんと座ってるなーみたいなふうです。D-WARSでもしみじみ思いましたけど、作品がクズになっちゃう人が選択するもんていちいちクソダサいもんばっかでなあ。今作に関していえばセガールと同棲してる女性警官役の人とか、なんか顔面内のパーツ(目鼻口)ひとつひとつのつくりがみょうにでかくて、そのわりに身長がみょうに低くてさ、なんというかぜんたいがアンバランスすぎてフリークすれすれの体型というか。その風体でお色気を振りまこうとするんでなんかスッゲエ奇異なんですよね。色気ぜんぜん出てないし。先天的な病気で身体だけ未発達のおばさんがお色気タップリの若いギャルを気取ってる、みたいなふうにみえちゃってさ。このひともアレなんですけどそれ以上にサイコパス役の人もなんかすごくひ弱そうな坊ちゃんタイプというか、ライブハウスにいる客もなんか下北沢にいそうな20代前半くらいのこぎれいでリアルに無害そうなふつうの人たちばっかで、まァそのリアルな地元の寄り合い感という意味ではすごく成功してるのかもしんないんですけど、凶悪な場所っていうかんじはどこにもありません。サイコパスって独自の深い世界観とか論理とかがあってこその殺人か、もしくは圧倒的になにもないゆえの殺人かのどちらかな場合が多くて、どっちの場合も自分だけのルールを平然とまかりとおす点においては彼らなりに整合性のある理由が前提として存在してて、それがしっかりしているほどに恐怖をかもしだす(こちらの論理が通じない)わけですが、今作のは死体にチマチマ刻んだりするわりに独自の論理みたいなものはあんまないらしくて、死体を傷つける最中もお前はお姫様で…俺は霊と話せるんだ…このまえも話したし…みたいなちょっとハッパ吸ったかな程度の心理描写しかでてきません。このサイコパスっぽい人はセガールに酒場で追いつめられてトンカチで体じゅうの骨をたたき折られまくることになるんですが、このシーンはどう考えてもセガールが悪者です。そういえばサイコパスの人はなぜか黒のロングコートを着用していてD-WARSの悪役をちょっと思い出した。兎に角いろいろあって最後はなぜか突然ロシア人美女がでてきて奥さんと娘とかいうことで、セガールがロシア人美女にニヤニヤしながら抱きついてチューしてベッドルームにはいってって終わりです。今作の要素中でいちばん安かったのは格闘シーンでヒットしてる部分を映すかわりにセガールの顔をやたらに連打挿入するあのカメラ使い。なんかこういちいちパパッと切り替え映しをなんでもないシーンにたくさんいれてちょっとナウなブキミ雰囲気映像にしてるっぽい目論みが99円均一店水準だった。あそうそう、あとセガールが子供のころに目の前で双子の片割れを殺されてその記憶に悩んでるんですけど、それが物語にからむこともまったくなくなんだったんだろう。ただ悩んでるってことなのか。歪んだ王国に君臨する王という点ではセルのスターガー的といえなくもないような気もしない。