超能力者はツラいよ編

バーバラと心の巨人(シャンテ)→テルマ(YEBISU GARDEN CINEMA)→ブレインゲーム(武蔵野館)とみまして、テルマは親元を離れて大学に通い出した女子(テルマさん)が、たび重なる痙攣発作に見舞われながらも自分の性癖や能力に目覚めてゆく話。テルマさんには気に入らない相手を瞬間移動させたりする超能力が備わってるんですが、それが出ないようにするために両親(特に父親)がいちいち生活上の予定を報告させたり、神に祈らせたりして抑圧している。ずっと親元にいたと思しきテルマさんにとってはその抑圧は自分にとっていいことなのだと思い込んでいたっぽいんですが、親元から離れてはじめて自分に向き合うことでその抑圧に疑問を抱いてゆく。ここらへん両親からずっと氷を操る超能力を禁じられて育てられた姉が、親元から離れて能力を全開にしてゆく「アナと雪の女王」と似てる。最後に真の愛情を示すのも妹だし。テルマさんの初恋の相手も女子なのよね。テルマにしろアナ雪にしろ、生まれつき備わった超能力を自在に操れるようになるような育て方をしたら最初から円満だったろうに、どちらも超能力によって人を傷つけてしまったことから抑圧する方向になってしまう。本来的に使い方さえ誤らなければ「素晴らしい能力」なのに、忌避することから「恐ろしい能力」という認識に陥ってしまうという。テルマさんはたびたび起きる痙攣発作の原因を病院の精密検査で探ろうとするんですが、検査ではなにも出てこない。自分の本当の欲求や能力を抑圧してることが原因なんで当たり前なんですけども。テルマさんのもつ超能力は強い欲求と直結してるらしくて、幼少期は泣き叫ぶ赤ん坊を一時的に消して(この間消された相手はどこにいるんだろうか)もといた場所とは違う場所に現れさすようなことをしたりするんですが、これを無意識でやってしまうあたり両親が怯えてしまうのも致し方ないですな。ここから超能力を意識的に操るような訓練をみっちりしておけば当人も周囲も怯えずに済んだろうに。テルマさんと恋仲になる女子も、テルマさんが強い欲求を覚えたときに消えてしまうんですが、最後になると出てくるんで、亜空間かどこかにいたんだろうか。テルマさんと女子がいい仲になる前にテルマさん父がひどい仕打ちを受けるのは、それまでの抑圧への反抗心の表れということなんだろうか。下半身不随の母親も治してしまうし。すごい能力。

ブレインゲームは過去や未来を視ることができる超能力者アンソニーホプキンスが、同じ能力をもつ殺人者を追う物語。殺人者はその能力で近い将来病で苦しむ人たちを発見して安楽死させてまわってると胸を張るんですが、殺される人の了解も得ずに勝手に殺すのはどうかと思う。あの世にいけば痛みも苦しみもないらしいので、この世で経験する痛みや苦しみは固有の財産なんじゃないのかな。警察から依頼を受けたホプキンスがその能力を使いながら殺人者を追うんですが、近い未来を視てどの行動をするとどうなるか、普通に追って撃たれて死んだホプキンスの映像がいちいちみせられるのでちょっとギョッとなる。それを踏まえて行動するので僅差で弾丸をよけられたりするんですけども。殺人者が犯行現場にいちいちメッセージを残すのは快楽殺人者によくある挑発的なアレなのかと思ったけど、同じ能力者であるホプキンスに語りかけてるからなんですな。なにしろサイコパスを追う風の刑事モノの王道からはちょっと外れたかんじの作品。

バーバラと心の巨人は襲いくる「巨人」対策のために腐ったブツを高いところに吊るして罠をあちこちにつくったり、秘密基地的な場所で対策を練ったりしてる少女が、それを許容してくれる子と友達になったり、親身になってくれるカウンセラーさんと交流してくうちに自分の中にある恐怖心と向き合うようになるまでの話。学校でも自分の中に閉じこもって行動してるんで、いじめっ子に因縁つけられたりするんですが、気が弱くてそういう行動してるわけじゃないので普通にやり返したりします。「巨人」を退けるたびに「皆を巨人から守った」と豪語するんですが、主人公しかその「巨人」をみてないので周囲が振り回されることに。最終的に「巨人」は主人公が恐怖を感じるところから逃げ回ってるせいで出てきてたってことなのかな。