ハロー、ミミズちゃん



 
『そういえばこのご時世あんま変な原稿持っていったら印刷してくれないらしいですよ…ほんと自主規制ヤツだきゃあ…。そういえば漫画で読むアメコミの歴史のワーサム博士のくだりが面白いです。ほんとにもう…。 』

上記『』内はタマヒメさんのボヤキからですが、リンクしてあるアメコミ史はなんかコミック周辺も全部織り込んであるせいか読み切るのわりと骨ですな。つくりものの規制ついでに異常性癖ってどれなんですかスレとかひょっとして性癖の源泉スレとか置いときます。どの人も相当ハードコアな幼少期をくぐりぬけてきてるのにすくすく育ってるってことは、たとえ虐待されてもあんま気にしなければ万事OKってことなんですかね?トラウマと紙一重といえばトラウマ絵本を引き合いに出した際にとりあげた「かじやとようせい」という絵本を昨日地元の図書館でよんでみましたが、絵柄(水彩っぽい筆致で色も明るい)も話(肝心の妖精キャラもちょっと変な肌の人程度)も別段ふるえあがる系の要素はまったくと言っていいほどなくて、ただ妖精といわれてるもの(ネッツで怖がってる人はこの妖精の歯が丸いとこがこわいとのことですがビタ1文気にならなかった)は実は悪魔なのかなーとは思いました。あるベテラン鍛冶の人がひとり息子と共に刀鍛冶の仕事にいそしんでるんですけど、ある日突然息子が寝込んでしまって、食事だけはちゃんとたべるのにそれ以外ではベッドから起きてこようとしない。医者にみせても原因不明。村の物知りのおっさんに相談したら妖精があんたの息子とすりかわってるから、ちょっと卵の殻に水をくんだものをいかにも重たそうにしながら暖炉の前に置くをくりかえしてみなさい、て言われていぶかしむもやってみるとな、なんだそれ!オレ800年生きてっけどこんなバカみたことねぇー!!とかモンスターちっくな人が息子の寝床から起きてくる。いまだ!とばかりにモンスターちっくな人を暖炉に投げ込むと、ギャー!!て煙突から煙と共にでていく妖精。そんで肝心の息子は1年に1回だけ入り口をあける「妖精の丘」にいるということで、村の物知りのおっさんは刀鍛冶におんどりと聖書と短剣をもたせ、妖精の丘へ向かわせる。で、その妖精の丘のなかに息子がいて無事取り戻したあと、その息子が腕利きの刀鍛冶となってすごい剣をつくるようになったというところで終わるんですけど、これってなにか通過儀礼的なもんの暗喩かなんか含んでるんですかね。あと「妖精」は聖書には手出しができないというあたりとかが悪魔寄りのなにかなのかなーと思った。おんどりは鳴き声で妖精たちに夜明け前と思わせるためで、短剣がなんだったかな…妖精の丘の入り口の前に突き立てるとでてこれなくなるんだったか?ちょっと忘れましたけど、とりあえず聖書がでるあたりがキリスト教がらみのなにかっぽかったし、妖精は基本的に油断のならない危険な存在ということがよくわかりました。現地のスコットランドの方はこの話が間接的になにを表してるのか知ってるのかなやっぱ。関連としてひろぶろさんとこに出てた珍しい剣のページとかなりすます子供スレなど置いておきます。ところで本日題はこれの主人公をいじめる女の子のセリフですが、中野さんといい三家元礼さん(TRASH-UP3に悪女を描きたくて周りのキャラをしかたなく描いてるとか書いてあった)といい、まさしく悪女がいるからこそドラマが生まれるわけで物語に於いては最重要な存在ですけどもこれの主人公の少女はなあ…。なんか両親が金持ちで住んでるホテルで好き勝手やってる子供の話なんですけど、この子に対して真剣に叱ったり悲しんだりする大人がひとりもいないために優れた絵本には必ずあるドラマがまったく発生しないんですよね。これってたしか何年か前に朝日の書評で女の作家かなんかが名作かのように紹介してた気がするんですけど、ドラマが発生しないから話は面白くないし、おいら個人はこういう生活に対する憧れもないのでなにがいいのかさっぱりわからないんですけど。金持ちの空虚さがそんなにうらやましいのかねえ。このエロイーズって子自身が感情的になにひとつゆさぶられないんで、よんでるこっちになんにも訴えかけてこねえし。おいらの好きな絵本て冒頭から主人公が困難に放り出される形で始まるものが多いんですけど、たとえば動物モノなら捕食される恐怖につねにさらされていたり奇形で生まれついてしまって取り残されるとか、そのテの生死がかかったハードなものじゃない可愛らしい話でも、大きな食べ物をとったり(←落語かなんかかと思った)つくったり(ここもどうぞ)するのだって途中にそれなりに難題がわいて出てたりするけど、そういう万人の生理的な部分に訴えかける要素が皆無で、じゃあエロイーズにはなにがあるのかというと「ホテル暮らし=羨ましい」みたいなおとなの邪心を前提にしてるとでもいうか。いや、お姫様の生活みたいな過剰な富豪の超きらびやかなありえない贅沢環境とかならわかりますよ。けどエロイーズのホテル内の描写って妙に現実的でバカっぽさは一切ないんですよね。絵本なのに。で、エロイーズの親は常に出払ってていないから、エロイーズは学校いかず(ここらへんに子供が憧れるらしい)に1日中ホテル内の人にちょっかいだしたりいたずらしたりするんですけど、会う大人が全員微笑んでるだけで叱ったりぶん殴ったり一切しないんだよ。なんか…絵本でも許容できるファンタジーと許容できないファンタジーがあってさー。おとながガキに対してニコニコし通しなんて正直あるわけねーじゃん?そういう大ウソを平然と描いてるのとかみるともう読む気が失せるんだよなあ。どうせガキのもんだからみたいにバカにされてる気がして。小さい頃からずっとそうだった。子供は経験がないだけで基本的なことはほとんどわかってると思うんですけどね。そういえばおいらの好きな絵本て現実にあってもおかしくないようなもの(それを壊さない程度に奇想が挿入されてる)で、なおかつおとなのリアルな事情とかが描かれてる作品が多いな。これ(いまはこっちか)とこれとか。大人の世界の妙な事情とかって子供の時分には完全に理解はできなくてもなんとなくおもしろいし、それに関わること自体がかなりな冒険でもあるんだよな。なにしろエロイーズに関しては満たされないだけの悲惨な子供の様子を描いたしろものにしか思えません。憧れないっていうかいやだよあんな生活は。マジに悪いことはしない点で悪ガキでもなんでもないし。でてくる大人が全員カンカンになるくらいのことしろよな。そういうことができないっていうのはトハンパに大人のご機嫌伺ってるってことで、これは将来的に他人の顔色伺ってばっかで自分が出せずに苦しみ続けるアダルトチルドレン予備軍とでもいうところでしょうか。創作物で描かれる「大人がゆるせる範囲のイタズラしかしない子供」はなんであれ大人の都合のいい大嘘の産物だと思う。

あといいかげんにこれを復刻していただきたいものです。精神と肉体は切り離せないという話です。