人権踏みにじってるのはどっちかな?

SAFE セイフ(21日。新ピカ)→キック・オーバー(バルト9)→宇宙人 王さんとの遭遇(シアターN)→ザ・ウーマン(えぬ)とみまして、宇宙人ワンさんが主人公に向かって発したいちばんさいごのセリフは中国・韓国から求められるまま日本人に謝罪をさせたがってる日本の方に捧げます。ワンさん、もっとまっとうなSFかと思ったら9割密室劇な挙げ句に壮大な1発ギャグをかます清々しい作品でした。いろいろかくとネタバレるのでとにかくみにいくと吉。ザ・ウーマンは森で暮らしてる野良女をみつけた男が、捕獲&自宅地下室に監禁して家族ぐるみで世話してるうちに男の暴力性がどんどんむきだしになって家庭崩壊する話。野良女である「ウーマン」(原作でもこの表記)を捕らえたのは妻と3人の子を持つ弁護士の男なんですけど、職場ではごくフツーに振る舞ってるんですが本性が微妙に身勝手な奴らしいことが自宅で家族と過ごしているときに見受けられて、たとえば子供たちが他の子にまじって遊んでる際にもなにげなくずっと監視してたり、奥さんがチマチマつくってる紙巻き煙草の完成したモノをなにもいわずにサラッと横取りしたりして、なんとゆうか怒るほどのことではないけれどもされると嫌なことをなにかにつけてやらかすんですね。しかも少しニヤつきながら。奥さんはというともうだいぶ前からこの夫の些細にイラつかせられる身勝手にかなり悩まされてる様子で、鬱屈をだいぶ溜め込んでるふうな不機嫌そうな(痩せて骨ばってるせいでよけいにヒステリックげにみえる)顔つきで始終うつむいている。この夫婦の子供が男ひとりに女ふたりなんですが、その長男も微妙にイヤな奴らしくて、ちいさな女の子が同年代の少年達にいじめられてる現場に出くわしても見て見ぬフリで通り過ぎるし、同じクラスの女子ができたことを自分ができなかったりすると逆恨みしてその女子のヘアブラシにガムくっつけて嫌がらせしたりと、女の関わることに関して陰湿な行動ばかりしでかしている。長女はというとちょっと前までは活発な明るい子だったらしいんですけど、ふさぎこんでしまって体育の授業も休んでばかりだし、洋服も地味〜になってしまっている。なんでかっていうとまあ父親に強姦されて孕んでしまっているのを悩んでのことなんですけど、結局ここんちの父親は女という生き物をちからでどうにでもできるモノとして見下しまくってて、後半で娘への狼藉にブチ切れた気弱な奥さんがようやく正面きって夫に別れを切り出すんですけど、それ聞いた夫がその奥さんを何発かぶん殴ったあげくに言い放つんですよ。女は黙って従ってろ的なことを。その父親のふるまいを目の当たりにした長男がどんどん感化されてって、まだガキんちょなのに女とあらば大人でもめちゃくちゃ見下して乱暴に振るまいだすんですよね。長男の性質がもっと優しいものならばそうはならなかったと思うんですけど、まあ親父に似てたんですな…。DV親父と同じことを子供がマネてしまうってのはなかなかにショック画ヅラですわ。そういう鬼畜なので野良ウーマンも見つけ次第監禁するに至ったという。不明のヒトをみつけりゃふつうは保健所とかに連絡するもんですが、そこへいかずとりあえず監禁てなるあたりもう動物としてしかみなしてないし。監禁したからといっていきなり拷問するようなことはせず(まあ一応家族もいるしね)、とりあえず高圧洗浄機的なモノで汚れ(ウーマンは長い野良暮らしで全身が黒ずんでる)を落としたり文明社会の朝食を食わせようとしたり、服を着せたり言葉を覚えさせたりは一応するんですけど、家族が寝静まってから夫だけこっそり起きて(奥さん寝たフリ・長男ソッコーで覗きにいく)ウーマン相手にセクハラ行為に勤しんだりする。ウーマンはもう長い事「力」だけで生きてきたので、言葉こそわからないけれど、群れのなかでどいつかボスでどれをどう殺せばいいか、ずうっと観察してわかってるんですよね。奥さんがウーマンのそばにきたときに、奥さんへむけて「お前もこの男に苦しめられてるんだろう、さあ早くこの男を殺せ」と目で語りかけたんですけど、奥さんはそれをしないんですよね。てゆうかあの時点ではまだそこまでのふんぎりはついていなかったのだろう。こいつをブチ殺さなきゃお前は生きられないぞとウーマンは思ってただろうけど、奥さん的にはまさかそこまでしなくてもいいだろう、程度の甘い見通しだったんだな。だから夫の毒牙から娘も息子も守れなかった。群れを守らないやつも、守れないやつも、食い物でしかない。それがウーマンにとっての最良の生き方なのだろう。んで最終的にこの家族が隠し飼ってた犬小屋の奥にいたモノ(無眼症て犬のことじゃなかったんだね)がでてくるんですけど、野生の勘でウーマンに逆らえないことを瞬時に悟るとこがおもしろかった。あと、ウーマンが赤ん坊や幼い子供に血を味わわせて狩りのできる者なのかどうかを判別するくだりがラストにでてきてじーんとした。あの末の女の子はしょっぱなからイカスセリフ吐いたりしてたしな。指の件とか。結局なんつーか文明社会に暮らしてるとわかりづらいけれど、たとえば暴力男と関わってしまっときにはもう殺るか殺られるかなんですよね。そのくらい厳しい考えであたらなければこっちが殺られてしまうってことで。野生では当たり前の「生きる」うえでの厳しさを、ぬるま湯に浸かりすぎて持ちかたがわからなくなってしまった。長女の子もウーマンからの血の盟約を受ければよかったのに。おなかの子のために、てゆってくれてたのにねえ。ぜんたい監督をメイのラッキーマッキーに据えたのが大正解だったと思う。女の子の孤独とか、痛めつけられてる女性の心象を描くのがうまいから。ケッチャムの話は基本的に家族という地獄観が基礎にあるっぽいんで、それが描けるヒトじゃないとうまくいかんだろうね。少年たちが面白半分にいじめやってるシーンとかでてきたけど、あれがしぜんな子供の姿だよね。ひさびさに映画で描写されるリアルな子供の姿をみた気がして満足したよ。あれみると他の映画にでてる「子供」がかなり嘘なんだなってのがひしひしとわかるね。ところでこの映画版のウーマンはスピンオフてことになるんだろうか?前日譚的なかんじで。それとも映画版だけの独自キャラクタ?ちょっとウーマン役の女優さんにインタビューたのむ>映画秘宝。パンフなくてやきもきだよ。
SAFEは正義漢が災いして天涯孤独になった腕っ節のいいステイサムが、自殺寸前に出くわした天才中国人少女を助けてゴタスタなる話。悪者側もステイサムも街中でけっこう殺してるけどだいじょぶなんだろうか。ステイサムと敵対するのはロシアマフィアに加えてチャイナマフィアと、それにかつて辛酸をなめさせられた(なめさせたのか)汚職刑事たちなんですけど、最終的にその刑事たちとも手を組んでうまいことやってくくだりがちょっと面白かった。主人公がもはや身ギレイさを求めない展開がいさぎいいかな。全編にわたって殺しっぷりがよかったよ。
キックオーバーはメルギブものだったんでみたけど、かなり面白いスジだったっぽいんだが前半だいぶ寝てしまってなにがなんだかわからん。あの母子はなんだ。とりあえず大金強奪して車で逃げてる最中にメキシコとアメリカの国境壁をブチ破ってメルギブがお縄になるところから仕込みスタート的な大金取り戻し頭脳戦&アクションつーか。土地柄で始終汗と砂埃にまみれてる画ヅラがちょっとだけ西部劇くさい。臓器移植の手術シーンなんかもでてくるんでちょっと残虐西部劇くさくもある。SAFEよかこっちのがみごたえありそう。ちょっと寝ずにちゃんとみたい。これもイイ作品ぽいのにパンフなくてなあ。パンフつくらないんならせめてチラシを充実させてよ。