事業仕分けされるモノとそうでないモノ

面白かった映画2009
 1.チェイサー
 2.爆音マルホランドドライブ・爆音ゼアウィルビーブラッド
 3.砂時計サナトリウム
 4.アンナと過ごした4日間アンヴィル・レスラー
 5.フェイクシティ
 6.グラントリノ
 7.チョコレートファイター
 8.マーターズ
 9.フィースト2
10.バーダーマインホフ

善のもろさ…現実がどんなに病んでいたとしても、それを描き出せるかぎりは人間捨てたもんじゃないと思わせてくれる力作。母国にいながらにして母国の腐った部分をネタに作品としても商売としても成功するんだから凄い。どんな理由であれこういうことができないでいる国は見習うべき。韓国でよくつくられる善悪の境のあいまいさを暴力に絡めて描く作品のように「人間はこんなにひどいのです(だから正しくありましょう)」っていうんなら説得力あって納得いくものですけど、ポンニのテレビ局がらみの「みんな善人!」とばかりに愛!善!平和!正義!みたいな見目いいネタ羅列しただけで人の心が動くかよ。安易な道から出ようとしない連中の片手間映画はもう飽き飽きだ。なにしろ人間のひどい所行をみるのはたいへん興味深く、いつみても飽きることのない最高の娯楽ですので韓国の漢気ある監督さんたちには今後も期待しています。
爆音まつり…ライブレベルの音にするだけで作品の良さが倍くらいあぶりでてくる。これは映画好きだったら観とかないと人生損する。マルホランドドライブについてはラストあたりの音響が衝撃波のように体を突き抜けていきまして、とうとう映画の世界が現実にでてきてしまった!と戦慄しました。これはリンチ本人にも体験さすべきとマジに思う。クリスピングローバーの巡回のみ上映とにた傾向のものだけどのせずにいれなかった。
シュルツ映画…画ヅラだけでも悦楽だった。悔やまれるはセリフがぜんぜんわからなかったことだけです。クイルズってサド映画がありましたけど、あれにもっとへんなキャラやシチュエーションをどんどんつなぎ合わせたかんじでした。シュヴァンクマイエルあたりに足フェチ描写をもりこませてリメイクさしたらいいのでは。
童貞と不器用とせつなさと…3作同率にせざるをえなかったのはどれも「身につまされた」という点でグサグサきたからです。「楽しめた」「好き」とかいう感情とは真逆のなんとゆーか自分自身の姿を突きつけられるたぐいの作品でちょっとたまりませんでした。これこそが映画の醍醐味でした。こことあっちは地続きだー!と思ってえぐかった。
エルロイ映画…キアヌみたいな能面ヤサ男が暴力的な汚職警官を演じる落差感マジたまんねっす。もう宇宙人とかやんないでLAらへんの犯罪がらみな役だけやっててくれ。
イーストウッド映画…なんか80年代のマスターピースのような安心してみられる骨太な傑作。映画の神と呼んで差し支えなかろう。
むかしの千葉真一の映画みたい!!…しなびた洋食屋ででる和製英語の名前がつけられたぜんぶのせ定食みたいなバラエティさでたのしかったです。障害者を主人公にしてるとこもいいです。
恐怖映画に於ける理不尽さが全面に…精神と肉体を痛めつけた限界になにがあるのかを娯楽映画にしてみた挑戦的意欲に脱帽。そんなことやっちゃらめぇー!とさんざんビビらせてもらいました。見世物は客煽ってナンボですな。
ないがしろと娯楽感…物語の正攻法的文脈をこれみよがしに外しまくった挑戦的態度がツボにはいりまくり。チョコファイと似たようなバラエティゆたかなネタ乱打も大満足。おいら的にはフィースト2(好き)→フィースト1(普通)→フィースト3(イラネ)。
敵はここにもあそこにも…特定の思想団体とかテログループを描いた作品てなんか大抵はつまんないですけど、この作品は特に興味がなかったにも関わらず最後まで飽きずに見せられてしまったのですごい作品だったのかなと思いました。門外漢を惹き付けつづけるってかなりすごいです。
 
例によって忘れてるモノがかならずあるやもしれませんがだいたいこんなです。
 
ランク外ではあるけど忘れられない映画2009
バーンアフターリーディング:基本的にせまい人間関係内でのサスペンス好きなので。しかも動機がどれもしょーもないアレばっかなとこもツボでしたし、大量宣伝と監督知名度で期待マンマンでみにきた客をないがしろにする的な脱力展開みせられて疲弊感たっぷりな客をながめる愉悦をかみしめられたところもポイント高い。なんだコレ…みたいにブツブツいいながら席たつ客の群れを横目でみながらイッヒヒヒー!と心のなかでニヤついてた。
バッドバイオロジー:すごいちんことすごいまんこをまんま映像化したマエストロに乾杯。
 
カコイイ俳優2009
パブリックエネミーズのスティーブンラング(スピンオフ求む)
インフォーマントのスコットバクラ
フェイクシティのキアヌリーブス
 
悪魔おんな2009
映画じゃないですけど漫画版嵐が丘のキャサリン。「あなたといつまでもいっしょにいたいから別の人と結婚する」とかいう身勝手の究極を押し付ける無自覚なサイコパスっぷりひどい。あと悪魔っていうよりバカが全面に出てることになんにも気づかずにうまくやってると思い込んでプロパガンダ映画でどや顔してるアナルウィンター。プロパガンダで客をだましおおせると当然のように思ってるところも腹立つ。女をバカにしてんだろな多分。あんたインフラも整えずにファッションリーダー気取ってるイメルダとちっとも変わんねえよ。大事なところを隠しだてしたままで新しいことなんてできるわけないです。



つーわけでことしもいろいろみれてシアワセでしたが、人生のつらさやみじめさをリアルに描き出す系の作品で身につまされてウワーンとなった記憶が多かった気はします。いい映画は出会うたびに生きなくてはと思わせてくれるもので、来年もまたそうゆう作品にたくさん出会いたいものです。