意識でどうこうなる程度のしろものじゃないんだなー

手をさしのべてくれたのに、いろいろこわくて逃げてしまった。手遅れかもしれないけどごめんね。

昨日はロフト(アンジェリカ)→ホースメン(シアターつたや)→イングロリアスバスターズ(渋東シネタワー)で、イングロはなんかイメージフォーラムあたりで短館公開されてるような小粒(けれど濃い)作品をみたかのような感覚になったり。デスプルーフから引き続きザマーみろアハハハハ的な爽快感炸裂ラストはまあいわずもがなマジすばらしいですが、この作品だけじゃなくチーノ映画ほぼ全部に共通してることなんですけど爽快やったぜシーン以外の、つなぎ的な中継ぎシーンが一般的な映画からするとかなり緩慢で、そのせいかごくごく一般的な大作映画好きの実兄とかはパルプフィクションみてタランティーノを毛嫌いするようになってしまった(理由:意味分からないしつまらない)ほどで、そもそも映画に対する評価は本来的に「面白いかつまらないか」のはずなのに、「嫌いか好きか」のどちらかにわかれてしまうあたりでチーノの映画が一般的な映画が目指しているものとはまったく別の目的をもった異質なものだということがなんとなくあぶりでてる気もする。チーノ映画にあるつなぎ的な中継ぎシーンがつまらなく感じる原因として、一般的な映画が中継ぎシーンで物語進行さすためのわかりやすい背景描写とそれに伴うストレートな感情盛り上げ(謎の小出しとか)を1本の筋を追う形で順繰りにしていくのに対して、チーノ映画の中継ぎシーンでは話に直接関係ないような盛り上がりもクソもない退屈な日常生活みたいなものとスリリングな頭脳戦みたいな正反対のシーンが脈絡なくぶつ切りのように差し挟まれる連続で、その場面の映像をみてる最中はスゲーつまんなく感じたりするんですけど、映画見終えたあと数日後になぜかもういっぺんみたくなったりするんですよね。あとになってよくよく思い返してみるとあのシーンって…なんか面白かったような…?みたいな気持ちがなぜだかぶりかえしてきて。こういう感覚ってなんとなくセリフのやりとりがやけに多い小説を読んでる際のワクワク感にちょっとだけ似てる気もする。そのテのたのしみに日頃から接し慣れてる人にはチーノ映画はたまらんのだと思う。いろんな映画を浴びるほど見尽くしてるチーノは客が「映画鑑賞」する際の真のうまみやたのしみの部分がどこなのかを知り尽くしていて、それがまま作品で提示されるというのはそのうまみ部分をコレだよコレ!って映画のたのしみをしらない(もしくは同じように熟知してる同志)連中にチーノが指し示してるも同然というか。パンフのいろんな人の解説よんでもあらためて思いましたけど、物語的な構造からしてもいろんなジャンルの映画の要素を好き勝手にまぜてあるから一般的な感情掻き立て映画のつもりでみにきた一般のお客さんはどう捉えたらいいのかわからなかった人がけっこうたくさんいたんじゃないかなーとちょっと思いました。鑑賞中に中途退出する人が何人かいたし。まーでもブラピってだけでB級グロ描写類をそこらのギャルの脳に流し込める、という点ではあきらかに快挙ですし、ナチ映画をつくる側が現実的配慮のしすぎで「こうなったらいいのに」的な展開をいかに自主規制してしまってイカスネタをみすみす見逃してるのかがよーくわかりもしました。ナチ狩り要員のイーライロスが打ちましたホームラーン!!とか言いながら礼儀正しいナチ高官を野球のバットでボカスカ殴り殺すとことか、女スパイの足の銃痕に指をグリグリ突っ込むプチ拷問っぷりとかいろいろおたのしみ映像が仕込んであってたのしかったです。あそうそう、あと殺しをした奴にはどんな重要キャラだろうと必ずキチッとおとしまえをつけさせる、という点がいちばんチーノを信頼してもいいところだと思います。作品上のいいとこどりしまくりなこずるさからすると、同じようにおとしまえつけさす系の骨太男汁監督ペキンパーの前では小悪党レベルの信頼度となりますが。主役級を殺せない人の考える程度の「娯楽」からすればぜんぜん信頼できる。
ロフトは「おっさんヤリすぎ」と「恋愛慣れしてないオタク男子の火遊び」が重なるとそうとういざこざなるよという話でわりとおもしろかった。手当たり次第に食いすぎなオヤジが発覚後に「悟ったんだ…超越したんだ…」みたいな意味不明のいいわけしてたあたりがちょっとすきになった。あとしょっぱなで死体が映ると共にバアアアアンみたいな大げさな音響かかるのはさすがに笑いました。
ホースメンはサイコパスとか超常現象とかとはあんまし関係ない不遇のチビッ子たちの苦悩的な話でした。そういう意味ではケイゾクっぽくもありますが、おとしまえつけさせてるという意味ではホースメンのが分があるかな。よくわからない。あーでも帰り際に買ってよんだこれに生育途中にないがしろにされ続けた子供の内面について書いてあるのをよんだらありうることやもなー…とも思った。あそうそう、あと鉤針を全身に刺して空中浮遊する自傷系アート好きの方は必見ですよ。だれだっけあの自分の体切り刻む外国のアーチスト。思い出せない。

上映中映画ついでにだれがみにいくんだ大賞しめきりまぢかですのでのせておきます。


追記(12/2)。ちょっと書き足しました。チーノ映画のみょうな部分の説明がうまくできない。