結婚後もホレられる男でいないと奥さんは逃げちゃうよ

ブルーバレンタイン(29日。しね)→イヴ・サンローラン(ヒューマントラストシネマ有楽町)→ガリバー旅行記(日劇)とみまして、ブルーバレンタインは付き合ってる最中〜結婚したてのころはラブラブだったカッポーがいっしょに生活するうちに険悪になって離婚するまでの話。険悪になってくといっても奥さんが一方的に旦那に対して嫌悪感をつのらせていて、旦那のほうはそんなこととはつゆ知らず新婚当初と同じようベタベタしようとすんだけど、奥さんはそんな旦那が嫌でたまらずエッチなんかもちろんさせないので、おあずけくらい続けた旦那がキレて夫婦喧嘩になるエンドレス状態。そうして夫婦間に暗雲がたちこめまくってるとゆうのに、新婚時のお花畑脳をいまだに引きずってる旦那がいらん気をきかせてB級SF映画にでてくるような宇宙船内部的なホテルにむりやり奥さん誘って気分転換さそうとすんですけど、旦那への嫌悪感MAX状態の奥さんの好みをないがしろにしまくった誘いは功を奏するわけもなく…みたいな展開。昨日の夜にフジでやってたバナナジャッジて番組内で女医さんが「サプライズが好きなのは男で、女は日頃から欲しがってる物や好みどうりのモノをもらえるのが一番嬉しい」「女は好みから外れたすっとんきょうなもんを押し付けられても迷惑だし好感度なんか上がらない」て発言してましたが、ブルーバレンタインの旦那は奥さんをホテルに誘うにも「気晴らし」と言いながらも自分の意志ばかり押し通そうとして、大事にしなきゃいけない奥さんの意志を頭ごなしにないがしろにし続けてんですよね。引っ越し業者やってたときの旦那が老人ホームで勝手に老人の持ち物飾り付けてたけど、あれも持ち主が喜んでたからいいもののヒトによっちゃ嫌がりかねないよ。旦那は心根はやさしいんだけど、ありがた迷惑になりかねないベクトルの押し付けがましいやさしさなんだよなあ。相手の意志を考えないでさ(*)。そういえば旦那の左肩に彫られた刺青の絵がこれの表紙画なんですけど、あの作品を体に刻み付けてるということは旦那の「理想」は「互いが与え続け/与えられ続ける」という関係なのかなと思った。シルヴァスタイン絵本のスジとしてはりんごの木がひとりの男の子を愛していて、その子から求められるままに自分の体すべてを与えてしまって体がなくなってさえもまだ愛している(男の子はりんごの木に利用価値があるから接してくるだけで、べつに愛情とかは持ってないんですよね。りんごの木は男の子をめちゃくちゃ愛してるから体を切り刻まれても嬉しがる。互いのベクトルが一方通行の利害一致関係)という自己犠牲なモノなんですが、もしも旦那が「互いが無償で与え求め続ける関係」を至上としてるがゆえに相手にもそれを押し付けて当然とか考えてるならこんな気味悪いこたねーなと思った。無償愛は自発的に行うからこそ愛なのであって、他者から強制されたら愛ではなくなってしまう。もしかしたら奥さんをりんごの木にでも見立ててるのかな。だったらオメーも奥さんにとってのりんごの木になれよ。旦那的には子供を大事にしてることで「りんごの木」にでもなってるつもりなのかもしれないけど、それは「子供を大事にしてるんだからお前も俺のいうとおりになれ」とでも思ってのことなんですかね。そもそもホテル泊まりの件もさ、泊まるの聞いた時点で奥さんは次の日は仕事で朝が早いからいくのヤだって言ってんのに聞き入れねーしな。「どこか行きたいところはある?」「都合のいい日っていつ?」てひとこと聞くだけで円満にいくものを、忙しいときに旦那の身勝手押し付けられて満足しろってそりゃ嫌われるわ。その上奥さんが仕事いくと職場まで追っかけてくる痛さ。あれ母親恋しさに仕事場まできて泣きさけぶ小さい子とおんなじじゃんかよ。付き合ってる当時に奥さんから妊娠した件を聞き出す際も脅迫同然に聞き出したも同然だったしなー。自分を押し付ける人って相手を信用しきれてない場合が多いんだよね…。なにしろ相手の意志を尊重した上で共同生活できるよう新しい関係を練りあげてくよりも「自分の意志を押し通す」ことを結婚生活だと思ってんなら結婚しないほうがいい気がするよ。
以前夫人からちょろ聞きしたんですけど、おんなは基本的に非日常的なゴージャスさ(早い話がお姫様気分ですかね)を味わうことがお好みだそうです。それに対しておとこは日常の延長を求めてしまいがちだそうですが、「日常に倦んでうんざりしてるのでそれを忘れる」ことが必要なおんなをおとこ目線で癒そうとするとモメることになる可能性大。多くのおんなにとって「せっかくの休日に窓がないB級SF映画の宇宙船内ホテルに押し込められる」ことは逆鱗に触れるも同然とゆうことです。
イヴサンローランは夫人がむこうの貴族って異文化はかなわないわね〜!!とか絶賛してたのでみに。美術品をやたらもってたんでサンローラン死後に連れ添った彼氏がそれをオークションにかけるまでのアレ。サンローランくらいの人だとふつうは所持してたコレクションとしてどっかの館に一括で寄贈されたりするんじゃねーかと思うんですけど、専門家からするとたぶん美術品の傾向が超バラバラすぎてサンローランで客寄せしても意味ないからなのかなーと思いました。でもサンローランの心を動かしたモノとしてぜんぶを見渡せばなんらかわかるもんがある気はしますけどね。それか彼氏さんがカネが入り用だったとか?しらん。あと若い頃のサンローランに質問ぶつける映像でたしか「人間の体ですきな部分はどこ?」て聞かれて「体毛♡」とか答えててふーんと思いました。有名デザイナーてホモ多いけど、女性という存在を映えさす観点を持っていて克つ男の(欲求に根ざした)即物的容赦のなさの両方があるからこそずば抜けた仕事ができるのかなと思いました。
ガリバー旅行記はジャックブラックものっつーことでは予想範囲内の内容で。数百年前っぽいおとぎばなし世界がトハンパに現代文明に毒される様子(現代服って機能至上だから美を優先したファンタジー世界造形を壊しますね)がちょっとよかったです。自分の過去を有名映画を組み合わせててきとうにデッチあげるとかジャックブラックだからこそ活きてきますな。あと巨人の国でジャックブラックをつかまえて人形の家に閉じ込めるちいさい子が怪物じみててよかったです。それとパンフがわりと充実してます。



 
*…おいらにもそうゆうところがあるので気をつけます。