会話中にでる英語表現の意味がぜんぜんわからなくてポカーンとした

『一般に存在するブドウ球菌を寒天培地に繁殖させ、そこに抗生物質でプリントしたフィルムをかぶせることでコントラストが生まれる。温度・湿度管理が必要になり、約2週間で細菌は消滅する。』
大山龍 生物化学アート(23日。Pepper’s Gallery)みてきまして、上記『』内は展示されてた唯一の説明文から抜粋したモノ。大山さんは菌だとか人体を構成する有機物を取り出して固めたブツを無機質な額内に収めてくふうな作家さんで、作品だけみたカンジではひと昔まえに日本でも流行ってたヘルンヴァインとかウィトキンあたりの自傷系現代美術だとか奇形種陳列の系譜(当時のは「傷ついた人体」そのものを作品として掲示してた―傷+肉体があくまで1セットだったけど、そこらへんから「人体に害をなす存在」のみに焦点をあてる流れになった)から派生したヒトなのかな…?と思いながらその旨作家さん当人にぶつけてみたら、そのテの美術系の流行とはまったく無縁に化学人(大山さんはリアル薬剤師)の観点からやりたいことをやってみてる、ていう傾向の方なのだった。佐々木さん展といい、若手美術家作品へのおいらの初見推測はさっぱり的外れだな(笑)銃弾が菌に覆われてく作品とか、一見してなんか下衆山さん(じゃなかったかな?もしかしたら障害者向けに風俗嬢やってる方の手記だったかもしらん)がいつだかツイートしてた汚いチンコ然としてたもんで、そこらへんからなんとなしに80年代頃に日本でも流行ってた痛々しい美術の流れ汲んでるヒトなのかなーとか思っちゃったんだよ。展示作品は3〜4種類あるんだけども、説明文が上記に抜粋した文がでてる1枚きりで、ほかの説明がまるでないのね。ちょっとわけわからんなあと思って大山さん当人に質問をすこしぶつけてみたら、もう出るわ出るわ、静かしくておとなしい風の作品の背後にえらくおもしろいエピソードだとかこだわりだとかがてんこもりで、大山さんも口頭で早口に説明してくもんだからメモしてくのがたいへんでしたよ。そんなおもしろいネタあるんならちゃんと文字にして個々に付けててくださいよ!て投げかけたら、そこらへんにもしっかりこだわりがあって、特に実験なんかでは化学変化おこしたブツの形状が流動的に変わってゆきますけども、それは化学式だとか数値でしっかり説明できる明快さがあるいっぽうで、実際にはすごく曖昧な現象が積み重なって起きているという相反する傾向が同時に起こってるふうな状態のモノに大山さんは惹かれるらしくて、それのわかりやすいのが井戸端会議的な立ち話だとかたわいのないダベリだとかで、話し合ってる中は流動的に激しくやりとりされている(現象が活発に起こっている)というのに、それが終わるとたちまちなにもなくなるあたりの「有にして無」「あるのにない」が立ち上がる状態とでもいうかな(大山さんはそれを禅問答にたとえていた)。それをすごくだいじに思ってるから、あえて作品個々の背景にある説明は掲示せず、作家当人と鑑賞者間でやりとりを交わすようにしてるんですって。鑑賞者にとってはすっごく誠実ではありますけど、これは作家側としてはたいへんなんじゃなかろうか…。まあ大山さんがそうしたいつーんだからいいんでしょうけども。展示されてた作品でも、パッと見は単なる白濁したアクリル板にしかみえないんだけど、鑑賞者がどうにか頑張って見方を変えてくうちに作品内に込められてる緻密なもんが見えてくるたぐいの作品があって、その「どうにか頑張って見方を変えてく」部分で鑑賞者が頭をつかって考えるあたりの行為をやらせたいがためにわざとそういうわかりづらいふうなビジュアルにしてるんですって。あとなんらかのブツの形状を押し付けたふうな版画があって、それは脂肪膜(横隔膜―肋骨の膜)を剥ぎ取って薬(抗生剤)漬けにするとミイラ状=ワックスふうになって保存できる状態になり、形を整えやすくなるそうなんですけど、その状態で魚拓的にして石版画(これも化学現象として説明してた)にしたんだそう。作品みただけじゃこんな背景わかりませんよマッタク。版画に関しては相棒さんがリトグラフのプロとかで、そのヒトにいつもムリ言ってつくってもらってるんだそう。リトはいつも透明な顔料をつかってるとか。あと、金属で型をとって出来た花の表面に神経毒を抽出させていく(?)と化学反応が起きてパウダー状になってくとかで、その作品は映像でしかみれないんですけども、金属製の花に神経毒を吹き付けてる中てのはマスクしててもちょっと粉がクチんなかに入ってきちゃうらしくて、その神経毒粉が甘い味がするらしいんですね。ひととおり作業おえると、マスクしてたにも関わらずクチのまわりが甘いんですって。やばいじゃないですか、つったらやばいんですよーてゆってた。それと米でつくった花(これ時間がなくてよく聞けなかった)にヨウ化カリウムを吹き付けるとヨウ素澱粉反応が起きて赤から青に変わってく、て作品が映像中にあったんだけども、それ空蓮房でロウソクの火のもと観賞したいわ。その旨大山さんにぶつけたら、いまんとこ日本で次に展やる予定はぜんぜんないとかでかるく却下されました。だれかーなんとか企画してくれー。ぜんたい大山さんの作品理念として「常に変化しながら動いている」物体、動きをともなうモノの中間という、目には見えづらい現象の狭間に(大山さんが)いる、それこそが面白いのだということらしい。なぜ菌や毒素を使うか、てあたりは「毒・武器→使うor捨てる」「コインの裏表―生死」ていう説明されたけどちょっと忘れてしまった。毒や菌が増殖して地図状に広がってくあたりのドライヴ感はおそらく前述の白濁アクリル板作品に込められているのであろう。なにしろ除菌抗菌流行りの現日本に於いては特に、大山さんの作品傾向はたいへんおもしろいものでしたよ。そういえば大山さんと話をしてる際になぜかアルベルトシュペーアの話になったら、とたんに大山さんが目をきらきら輝かせてうれしげにシュペーアについて語りまくっていた。巨大で美しいんだそうです。巨大な建築ブツつーとどうもそそり立つ男根感がぬぐえないなあ。男根感といえば大山さんと話してる最中に、日本の学生が予定調和的な会話しかしないのはなぜか、的なネタを大山さんが出して来たんで、おいらがこれはとばかりに一体感欲求に飢えてる件をどうにかわかってもらおうとしてたら大山さんが話すのをちょっと遮る形になってしまって、そのときに一瞬大山さんがびっくりするぐらい怒ってさ。いまどきめずらしくカミナリ親父的な男らしさを保持しているヒトなのだなと思った。飛び抜けた気性の激しさを生来持ってるヒトはやっぱり今のヌルい日本だと暮らしづらいのかなーとちょっと思ったり。どうしてドイツ在住なのかはしらんけどさ。なんとなく。
行き帰りはチャリだったんすけど、なんだか皇居周辺にヒトだの車だのがひしめいてて、つづけざまに走りでてきた外国ナンバーの高級車列がちょうどきれたところでタイミングよすぎに信号が青になったりして、あれはお巡りさんが信号を操作してるのね。ちなみに昨日昼ごろ、わんさと並んだ右翼の街宣車(うしろには常にパトカー付)が皇居のまわりをぐるぐる走りまわりながら、たまに止まって静かな環境音楽みたいのを流し続けてたと実兄情報。

 
菌がらみじゃないけど被曝した犯人さんはクリスマスをむかえられてるだろうか…。侵蝕美術のこと考えてたらよぎった。