批評でもって批評家を葬ることができるのに気づいた

恋愛についていっぺん白紙にもどすことにした。ここ10年ちょっとほど好きな人がいたんだけど、なんか、最近「好き」て想いよか「ここで諦めたら彼がかわいそうだよなぁ…」ていう同情心のが強くなってしまってね…。同情で付き合うと「かわいそう」が先行して本音が言いづらくなったりすんだよね。前(前世じゃないよ)に付き合った男も実をいうとそうだったんだよな。何人もの女からフラれて傷ついてる、てのを全面にだしてきて「結婚するって言って!」てすがりついてくるんだよ。かわいそうだなと思って言うなりにしてあげてたんだけど、いくらセックスしてもイケなくてさ。ああなんか…わし、この男が好きじゃないんだな、てのを芯で体感した。その人は自分の精神的欠点を直さなきゃ誰と付き合っても長続きしないのに、そこから目を逸らし続けて「なんでフラれるのかわからない(=女が悪い)」とか言ってうなだれてるんだよ。強情で怖がりで弱い、てとこにいつまでたっても向き合わないから強い男になれないのに。で…その男に(行くのヤだったんだけど強引に)連れてかれた出版記念会で出会ったんだよね。恋に落ちた、てのはあのことなんだな。すごかった。そこから10年くらいずっと同じノリで好きで…だったんだけど、ここへきて彼を冷静にみることができるようになったというかね。この人と連れ添うのはどうなのかな…と思ったいちばんの理由は、おいらが特に政治ネタなんかで好き勝手書くたんびにヘソ曲げるふうだったこと。それも好意自体が根こそぎなくなるレベルにヘソ曲げてるふうだったんだよね(遠隔で感じてるだけなんで不確かなんだけども)。突飛なこと書くたんびにいちいち好きでなくなったり突き放したりする人と暮らしてくのはちょっとムリかなと思った。もうひとつの理由は、直接話したわけではないけど、なんだか…「俺を好きなら俺の全部を追って」みたいな、人気者ならではの傲慢さでこちらに無言で追従を強いてくる感がひどいこと。彼は根本的においらのことが好きでないし、おまえみたいなブスが俺を慕うならブスなりの行動をしろよ(笑)としか思ってないんだなーというあたり。お互いを大切にできる同士て、相手のブサイクさとか気にならないんだよ。それは両親とか社長夫妻とか、長く連れ添ってる同士をみてるとよくわかる。心が通じ合う同士て、そんなとこは気にならないの。気になる時点であまり深くはわかりあえない間柄と見なしていいと思う。でもね、彼を追うことでおいらは映画や美術の世界に入り込むことができた。逆にいえば彼に出会わなかったら映画にも美術にもそれほど親しむことはなかったと思う。例によってまたオカルト的なアレなんだけども、彼はもしかすると聖観音ちゃんの生まれ変わりさんなんじゃないのかなとニラんでる。おいらが「書く」必要性から映画・美術方面に導かなきゃならなくて、おいらが確実にホレちゃう聖観音ちゃんがいちはやく彼に生まれ変わってうまいこと誘導してきたのかなと。彼は見た目はすごく男っぽいのに、なんだかちょっと女ぽいとこがあんだよね。でも、今生ではおそらくいっしょにはなれない間柄なんだろう。だからこそおいらが生まれるよかずっと前に生まれたんじゃないか(おっさん好きなんでそこは全然だいじょぶなんだけども)。あと…なんつーか…聖観音ちゃん、何度も生まれ変わってるから、もうフツーに連れ添うとかじゃ満足できないのかもしらん(笑)せっかく生まれ変わって出会うならより劇的なシチュで!的に思ってる可能性大。あのヒトならありえる。まあ面白いヒトですよ。つーわけで前の彼氏と今まで好きだった人にはだいぶ育てられたなぁ。おもに美術映画方面のセンス。このふたりがいなければ今のおいらはないです。すごい教育をされた。おかげでいろんな知識がついたよ。ほんとにありがとう。今後あなたたちと恋人になることはないけれど、友人としてなら出会うことはあると思う。10年ちょっと好きだった人についてさんざん書いたけども、あの孤高さや冷酷さを保持しているからこそ色気があふれ出んばかりの文体が書けるわけで、そこは責めるべきではないよ。あの冷酷さ、連れ添った人がいちばんわかってたろうね。あの人の心には誰も入り込めない、てのがわかったときのショックたるや…。自分は何と付き合ってたんだろう、て絶望感はそうとうのものだったんじゃないか。究極のナルシストがいるとすればあの人だろう。色気だだ漏れのあの文体はあの冷血があるからこそできるんだよ。そこに世間しらずだったおいらがコロッとやられたんだな。おかげで美意識のなんたるかと人を大切にすることのなんたるかを学ばせていただきましたよ。おもしろかった。あの人のおうちにはおいらは入れないのかもしれない、て予感をどういうわけかずいぶん前から薄々感じてたんだが、こういうことだったのね。
ちなみに…ちょっと前から猛烈にモーションかけてきてる男子がいるんだが、この人は批評のしようがないほど単純極まりない男でなあ…。どんなヒドイことを書いてもさっぱりぐらつかねえの。しょうがない人だな。